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内村鑑三の「後世への最大遺物」を読んで

内村鑑三の「後世への最大遺物」という本を読みました。100年以上前の講演録なのですが、自分の中でとてもしっくりきた一冊だったので、今回はその内容と、そこから自分が感じたことを書いてみようと思います。

読むことになったきっかけ

きっかけは、YouTubeでアバタローさんの解説動画をたまたま見かけたことでした。「後世への最大遺物」というタイトルに惹かれ、動画でざっくりとあらすじを知りました。

しばらくした後に星野リゾートの社長である星野佳路さんが書かれた本の中で、星野リゾートと内村鑑三の間に関係があるという話も目にしました。そこでなおさら興味が湧き、自分でも本を読んでみたという流れでした。

何を後世に遺すべきか

本の中で内村鑑三は、人が後世に遺せるものとして、お金、事業、思想、教育の4つを挙げています。

お金を遺すことができれば、それを元手に事業を興したり、誰かの生活を助けたりすることができます。事業を遺すことができれば、それは社会に対して直接的な価値を生み続けます。思想を遺すことができれば、書物などを通じて後の世代の考え方に影響を与えることができます。教育を通じて人を育てることも、遺せるものの1つです。

ただし内村鑑三は、これらは誰にでもできることではないと指摘しています。お金を稼ぐにも、事業を興すにも、優れた思想を残すにも、それ相応の才能や環境が必要です。教育に至っては、用い方を誤ると人を型にはめてしまったり、かえって害になってしまうこともあると書かれていて、これは個人的にもかなり納得感がありました。

そこで彼が最後に挙げるのが「誰にでも遺すことができる最大の遺物」です。それが次に紹介する「勇ましい高尚なる生涯」というものです。

勇ましい高尚なる生涯

「勇ましい高尚なる生涯」とは、簡単に言うと、希望を持って自分の生涯を精一杯生きることそのものを指します。お金や事業のように形として残るものではありませんが、その人が困難な状況の中でも希望を失わずに生き抜いた姿そのものが、周りの人たちに勇気や活力を与える遺物になるという考え方です。

内村鑑三は、当時の日本に足りないのは知識や技術ではなく、生命であり、エネルギーだと述べています。これは何が正解か簡単には分かりづらい現代にもそのまま当てはまる指摘だと個人的には感じています(話は逸れますが、このあたりの共通点から最近明治初期に興味を持つようになりました)。

例として挙げられているのが二宮金次郎(二宮尊徳)です。彼が興した事業自体は決して大きなものではなかったかもしれませんが、貧しい農村を立て直すために生涯をかけて努力し続けたその姿は、後世の人たちに「自分たちも困難な状況の中でやっていけるんだ」という活力を与え続けています。事業の規模ではなく、生涯そのものが遺物になるというのは、自分にとって新しい視点でした。

ここから先は、自分の個人的な話になります。

祖父が遺してくれたもの

自分がこれまでの人生で最も影響を受けた親族は、父方の祖父です。祖父は団子屋を営んでいて、祖母や父もそこで働いていました。自分も小さい頃は、家にいる時間よりも店にいる時間の方が長く、祖父の働く姿をすぐ近くで見ていました。

自分は三代目にあたる立場だったのですが、店は継がず、祖父が亡くなると同時に店も無くなってしまいました。店を継がなかったこと自体に後悔はなかったのですが、心のどこかにずっとモヤモヤした感情が残っていました。祖父が長年かけて築き上げてきたものを、自分の代で途切れさせてしまったという感覚があったのだと思います。

ただ、この本を読んで気づいたことがありました。祖父が本当に遺してくれたものは、店でもお金でもなく、「勇ましい高尚なる生涯」だったのではないかということです。店という形あるものは無くなってしまいましたが、祖父が生涯をかけて店を守り、働き続けた姿そのものは、自分の中にずっと残っています。それに気づいてから、心の中にあったモヤモヤが少し晴れたような気がしています。

自分がこれから遺したいもの

これから自分が遺していきたいものについても、この本を読んで改めて考えました。

もちろん、まずは「勇ましい高尚なる生涯」を遺したいと思っています。子供や孫に「あの人はこういう人だったな」と思ってもらえるような生き方をして死にたいというのが、率直な気持ちです。

それに加えて、事業も遺していきたいと思っています。祖父は店という事業を興しましたが、次の世代に引き継ぐことはできませんでした。自分はそこにチャレンジしていきたいと考えています。もちろん簡単なことではないと分かっていますが、祖父が精一杯生きた姿を近くで見てきた自分だからこそ、次は事業として何かを遺す挑戦をしてみたいなと感じています。

100年以上前に書かれた本ですが、読んでみて自分の人生や家族について改めて考えるきっかけをもらえました。少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ手に取ってみてください。

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